アリーヤ,ブランディー,モニカ・・・・いずれも90年代半ばに10代でデビューし,将来が嘱望されていたシンガーであるが,その後の歩みは多難だったと言っていいだろう。順風満帆かと思われたアリーヤは飛行機事故で夭折。ブランディーは人身事故を起こして一時期活動が危ぶまれた。モニカも私生活で辛い出来事が続いた。
ただ,3年半ぶりとなる本作のライナーノーツには,これまでの苦難がまるで嘘だったかのように,二児と共に穏やかな笑顔で写真に収まるモニカの姿が掲載されている。そして,慈愛に満ちた表現力豊かなヴォーカルが随所に。
ハイライトは,流麗なピアノで美しくも感傷的なメロディーが紡がれる「One In A Lifetime」に,穏やかに流れるアコースティック・ギターが郷愁を誘う「Superman」,ピアノを基調としたシンプルなサウンドながらエモーショナルで感傷的なヴォーカルが際立つ「Love All Over Me」の3曲か。これに続くのが,春の陽射しのように穏やかな雰囲気の「Stay Or Go」(歌詞は結構アクティブだけど)や「Everything To Me」。ラップ調の滑らかなヴォーカルによるスロージャム「Blackberry」もいい。
フューチャリスティックなサウンドも取り入れてはいるが,本質はオーセンティックなR&B。一過性の流行に左右されない確固としたスタイルが味わい深いサウンドとなって実を結んでいる。
今どき全11曲は少ないと思われる人もあるだろうが,15年を越えるキャリアがなせる熟成されたヴォーカルは聴き応え十分で,収録曲数を意識させない。なかなかの力作です。