絵の美しさは素晴らしい。暗めのタッチは好き嫌い分かれるだろうが、19世紀をよく表している。現段階におけるアニメ映画の最高峰と言ってもいいかもしれない。
ジャンルとしてはスチームパンクになるのだが、『天空の城ラピュタ』と結びつけてしまうのは、いささか安易という気がする。というのも作中に「科学とは何の為にあるのか」という命題が描かれてはいるが、視聴者にわかりやすく「○○の方が大事だよ」と訴えているわけでも、「あなたならどう思う?」と、問いかけているわけでもない。登場人物達は善悪ハッキリと分かれているわけではなく、それぞれの信念(ないし執念)に基づいて行動する様を、観客に「ただ見せている」。「大友克洋=AKIRA」という等式が頭の中で成り立っている人は、大いに失望させられるだろう。
また、声優の重要性を痛切に感じる。主要キャラはを俳優達が担当しているのだが、その多くは喋りがもっさりしていて、違和感が拭えない。緊迫すべき場面で妙にのんびりした声を聞くと、苛々させられる。もっともそれは声優のせいだけではなく、やや緊張感に欠ける展開にも原因があるだろう。ストーリーの完成度はお世辞にも高いとは言えない。
総合的な評価は、観なくても損はしない作品。