本書における著者の主張は「予測可能性」という言葉に集約できる。経営に不意打ちがあってはいけないと著者は考えるのだ。「私は予測可能性こそ経営の強力な道具であり、おそらく最も強力なものであると主張する。反対に予測不可能性を内に抱えた企業は非人道的であるだけでなく、競争力のない企業である」と言う著者は、予測可能性を高めるための方法を説き起こしている。
欧米のビジネススクールの授業には2つのタイプがある。先進的な理論や専門手法をドンドン取り上げ、数字が飛び交う授業は1つのタイプだ。もう1つは実務的・帰納的・総合的な授業であり、しばしば「ジェネラルマネジメント」という看板の下に、多くは実務経験者によって担当されている。
本書の内容は、そのジェネラルマネジメントの授業を想起させるものだ。中身は、経営のあり方全般に及ぶが、組織論、リーダーシップ論、コーポレートガバナンス、ビジネス倫理といった領域のトピックが取り上げられている。
著者の語り口は軽妙洒脱だ。人生経験豊かな年長者特有の説得力に満ちている。著者の人柄か、白黒がはっきりし、論旨明解で、曇りのない叙述だ。 読者に対し著者が訓戒を垂れているような部分もあるが、抵抗なく読める。人生の先達の話にはだれでも耳を傾けるものなのだ。
経営の手法や、最新理論に関する教科書的な記述を期待する人には、本書は役に立たない。そうではなくて、経営実務に長年携わったアメリカ人が「経営の本質」をどう捉えているかに関心がある人には、一読の値がある。(榊原清則)
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スチーブンソン教授に経営を学ぶ,
By カスタマー
レビュー対象商品: スチーブンソン教授に経営を学ぶ (単行本)
まず、邦題から受ける印象が間違っていないか、目次や「訳者あとがき」にざっと目を通し、気になった章をパラパラめくってみることをお勧めします。つぎに自分は実績も経験も十分という方は第9章からお読みになったほうが時間の節約になるでしょう。 この本は街に多く出回っている最新の経営学やマーケティングの本ではありません。 そうしたたくさんの本に埋没し翻弄されてしまう前に、忘れてはならない経営の原則中の原則を述べている本といえるでしょう。 またこの本はちょっと別な角度から読むことができるかもしれません。 人生のちょっとした出来事や友人・知人との経緯、部下や取引先の関係をふと振り返ってみたくなるようなときに、とくにこれといった期待もせずに読んでみると案外おもしろいかもしれません。 あるいは週に一度か月に一度、他のことを忘れて一章づつ読んでいくのもよいかもしれません。 このように申し上げてきたのは、こんなことはわざわざ本を読んで教わらなくともいいという方も少なからずいらっしゃるだろうと思われるからです。
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