地球初の、イルカをクルーとする探検船ストリーカー。この船が傷つき疲弊した状態で、水の惑星キスラップに不時着・・・。物語はここから始まります。
深宇宙において銀河の歴史に関わる重大な発見をし、そのために全宇宙の列強種属から追いかけられ、激しい戦闘をくぐり抜け、命からがら追跡を振り切ってこの星に逃げ込んだのでした。しかし追跡の手はすぐにもおよぶでしょう。修理と補給を間に合わせ、この星を脱出し、地球に向かうことができるでしょうか。
銀河列強種属とファーストコンタクトした時はすでに、人類はイルカとチンパンジーのUplift(知性化)を完了していたため、列強は渋々、人類を「主」族と認めました。しかしほとんどの種属は、人類が宇宙航行レベルの知性を独力で身につけたとは認めがたく、この新参者に反感を持ち、地球を支配下に治めんと虎視眈々と狙っている、そんな時代でした。ストリーカーの発見は、列強が地球を蹂躙する口実となってしまうのでしょうか。
列強が台頭する宇宙で孤独に独立を保つ人類の姿が、幕末から明治にかけての日本と重なります。トム・ソーヤーのような柔軟な知恵で列強を煙に巻く主人公たちの冒険譚に、イルカや宇宙人の緻密な生態描写、キスラップの謎、一部の知性化イルカの出生の秘密などを交えながら、この物語の前にも後にも続く壮大なUplift宇宙が徐々に姿を現します。
ヒューゴー・ネビュラ賞作品は一通り読んでいますが、私のベストワンです。続編の「知性化戦争」もお勧めします。