表面上は、スター女優と大学の非常勤講師という住む世界の違う男女のラブストーリー。それだけで見ると、ドラマの設定は取り立てて珍しくはないし、だれもが予想するような展開になっていくだけ。つまらなくはないけれど、これといった見所もない。ラブストーリーといっても、ヒロインのマリは終始、チョルスを信じ続けているのだが、チョルスの方がすぐに怒って、くっついたり離れたりするだけ。30歳すぎて何やってんだこいつはって感じ。しかし、ドラマはそんな単純なものではなく、幼い頃に両親を事故で亡くして愛を知らずに育ち、スターになったのはいいけれど、スターであるがゆえに愛をえられない女性と、両親に捨てられて、やはり愛を知らずに育ち、それゆえ人の心の中にどうしてもあと一歩を踏み出せない、あるいは踏み込ませない不器用な男性の恋物語である。そう思って見ると、ドラマは違って見えてくる。また、冒頭、おとぎ話のように始まるけれど、最終話も実はおとぎ話になぞらえてある。そう、このドラマは大人のための童話なのだ。それが好きかどうかは人それぞれだけれど。
このドラマを見ると、チェ・ジウはやはりメロドラマがよく似合うなと思える。可愛く演じるべきところはとことん可愛くて、20代のころと変わらない。スターの役だから華麗な姿も見られるし、ファンなら十分に満足できる。泣けばいいと思っているなどと書いている人がいたが、それは演出や脚本のせい。チェ・ジウは愛に飢えている、まっすぐな女性をよく演じている。シナリオも「冬ソナ」にようなつっこみどころはほとんどなく、人物の細かな感情の動きをよく表している。「天国の階段」のような派手さはないけれど、ちゃんとしたハッピーエンドだし、メロドラマとしての完成度は高い。とくに2度見ると、ドラマの良さがわかる。個人的には、チェ・ジウ主演のドラマではいちばんのお気に入りとなった。
なお、今回はレンタル需要がなかったのか、最初からスリムなボックスセットになっていて場所をとらないから、コレクターとしてはうれしい。しかし、特典ディスクのうちメイキングが物語の序盤だけなのが残念だった。