この本にはどこにでもある典型的なキューブリック論以外の何物も書かれていない。いや、「キューブリック論」などというほどのこともない、単に誰でも出来るほどほどの批評程度の物であり、「そんなことはいいからさ、早く本題に入ってよ!」とジリジリしている内に読み終わってしまった。しかも全体の30%~50%ぐらいは全然キューブリックと関係ない話で構成されています。ってか、完全に著者がキューブリックをダシに自分の偏屈ぶった知識人っぷりを披露したいだけにしか見えませんでした。
ただ1つ感心した点は、著者がキューブリックについて議論するにあたって、対談相手に塚本晋也を選んだこと。本屋で立ち読みして、塚本晋也がキューブリックについて語っているのを見て、それだけの理由でこの本を買ってしまった。んがしか~しっ!この対談も形だけで、実際に喋っているのは殆ど著者だけ。塚本晋也はただ「はぁ」とか「なるほど」とか頷いてるだけで全然自分の考察を披露しない。「塚本喋れ!」っとイライラしている内に、やはりこの対談も終わってしまった。笑止。
1つ明らかに言えることは、この本は著者がキューブリックについての深い考察があるから綴ったというような体のものではなく、ただキューブリックについて書いたらカッコよさそうだから程度の至極個人的な理由で書かれた物であり、本人にその気がないにしても残念ながら僕の目にはそういう風にしか映りませんでした(しかもやっと話がキューブリックについて語るぐらいに熟してきたかと思うと、スグ関係ない話に切り替わってしまうし)。これは最近の典型的な知ってだけいる知識人(たとえば浅田彰とか)の名誉心を満たす為の産物であり、取るにたりません。
まあそこまで怒らなくても、この著からキューブリックについて学ぶほどのことはないでしょう。キューブリックの映画を全部見る方がずっと得策です。