「人は何歳であろうと既にそれぞれの人生を背負っている」という当り前のことを、この原作と映画は教えてくれる。岩崎恭子の「今まで生きて?」発言がかつて話題になったのも、「子供への先入観」があったからだろう。
冬編「マンハッタンの奇譚クラブ」は、どことなくコナン・ドイルの「赤毛連盟」を彷彿とさせる怪しさとゴシックな雰囲気を持っている。作品の舞台はニューヨーク東35ストリート249Bの、とある会員制社交クラブ。ただし、その成り立ちは不明、会費も無料だという。
上司の誘いでそこに足を踏み込んだデイビッドはいくつかの疑問を抱きつつも、しだいにその居心地の良さにのめり込んでいく。珍本かつ傑作ぞろいの書庫、巨大な暖炉、樫の寄せ木張りの床、ビリヤード台、象牙と黒檀を刻んだチェス、トランプ、スコッチ、ブランデー、皮が肉汁で張りつめ湯気をあげるゆでたてのソーセージ、そして会員たちが語る風変わりな体験談。その極めつきはクリスマスの前日、ある老医師が語った、ひとりの若く美しい妊婦をめぐる、奇怪だがロマンチック、しかも心温まる物語だった。モダン・ホラーの騎手がホラーをメインディッシュではなく香辛料として、最小限の描写で最大の効果を上げた意欲作と言える。(中山来太郎)
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翻訳はどうしても大筋はともかく、ディテールにおいては訳者の感性に大きく依存してしまいます。表題作「スタンド・バイ・ミー」の主人公が少年時代、しかもおそらく女性には理解はできても復元することのできない思春期直前の時期の出来事の回想録である以上、訳者は男性の方がよかったのではないか、そしてあくまで原書を二つに分けて翻訳本を出版するということをするのなら、そのどちらも一人の翻訳者さんにお願いするべきだったのではないかと思います。
(私としては「ゴールデンボーイ」を訳出された浅倉久志さんの訳でお願いしたかったです)
また、新潮社さんは「スタンド・バイ・ミー」と「ショーシャンク」の二つで再翻訳、再編集してまた別の本を出版されればいいんじゃないかなと思いました。
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