メタローグ
イタリア現代思想を代表する記念碑的成果の待望の初訳。西洋において古来問題視されてきた、哲学と詩との分裂を克服するべく、ギリシャ古典からハイデガーまで縦横に往き来し、新しい批評の可能性の地平を拓いた、野心的労作である。「人間の精神は、決して同化しえないものを同化しようとする不可能な課題に挑んでいる」と著者は書く。批評とは認識の限界への問いかけであり、無と愛とを包摂する言葉の創造力である。本書はハイデガーの思い出に捧げられているが、著者は1966年と68年に彼の晩年のゼミナールに参加している。膨大な知識量と教養的訓練に鍛えられ支えられた本格派の登場。(小林浩)
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内容(「BOOK」データベースより)
たとえば「メランコリー」。フロイトやラカンら近代の精神分析学により「対象」と「所有」の病理とされ研究対象となったこの病は、中世の修道士の無気力に発し、「狂気」「欲望」「並外れた詩人」という極端な矛盾を孕む黒胆汁の気質と考えられ、デューラーの作品に結晶する。中世の物語や恋愛詩、エンブレムや玩具、ダンディズムや精神分析、それらは言葉とイメージがつむぎ出した想像と忘却の変遷の保管庫=「スタンツェ」である。西洋文明における豊饒なイメージの宝庫を自在に横切り、欲望・感情・言葉のみならず欠乏・喪失が表象に与えてきた役割をたどる。21世紀を牽引する哲学者の博覧強記。