原因としては、現地における社会資本の未整備や非効率的な行政システム、文化慣習の根本的な差異などが指摘されている。自動車産業を例に取ると、1983年から85年にかけてインドで合弁企業を設立したトヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車、マツダの試みは苦戦を強いられたり、失敗に終わっていると、本書の著者であるR・C・バルガバ氏は指摘する。
しかし、スズキだけは違っていたと言う。80年代、スズキが経営に参画したマルチ・ウドヨグは、その後インドの乗用車産業を牽引する大企業に成長し、今も国内市場でシェア50%以上を占めている。同社の設立当初から要職に就き、90年代には社長を務めた著者は、スズキの社員らとともに様々な経営課題を克服してきた過程を振り返りながら、インドで日本企業が成功するためのヒントを示す。役職に関係なく従業員は同じ制服を着て同じ食堂を使うことが、階級意識の強いインドでいかに困難であるかなどのエピソードは興味深い。注目を集めるスズキのインド戦略について描いた数少ない書籍のうちの1冊だ。
(日経ビジネス 2007/02/26 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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