僕は朝日新聞の記事の紹介で読みました。それまで、この方の存在も知りませんでした。読書を重ねていくと、段々と好みの輪郭が見えてきます。おのずと、贔屓の作家さんも出て来るでしょう。と同時に、今度は徐々に閉鎖的になっていき、ハズレを引きたくないが故、守りに入って無難な選書しかしなくなってきます。だから、僕は今、新たな探求をしている最中、本書に出会いました。この作品の素晴らしいトコロは、(言葉は悪いですが)「平々凡々な話を読ませる筆力があるという事を自身も解って書いている。」点に尽きると思います。ある程度読書されている方なら解ると思うのですが、「ドラマ性」で読み手を引っ張る作品って多くないですか?勿論、それはそれで良いのです。それが作り話の本流(主流)なのですから。でも、そればかりだと飽きも来ます。本書は所謂、「痒いトコロに手が届く」ような作品でした。これほど「抑えた話」は、最近読んだ記憶がありません。男の僕でも『No.1、2』は、愉しめましたし、『No.3、4』は、背中を押してもらうように元気をもらえました。(冷めているんだけど、擦れている訳じゃない麻子の孤軍奮闘振りは本当によく描けていました。)表紙も僕に取っては重要なファクターの一つで、作品を象徴するような素晴らしい作品です。推薦してくれた方々には、本当に感謝ですね。これからも恐れず、埋もれた名作と言われるモノを、どんどん提示して欲しいと思います。どうもありがとうございました。