特に最後の『ソマリア〜』に見られるグロテスクなまでの暴力描写は相変わらず。気持ちの悪さで言えば『熊の場所』に収められている『ピコーン!』と同等。同時に『スクール〜』で暴力の伝染のことが書かれていて、これは同じく『熊の場所』に収められている『バッド男』にリンクする。ソマリアが暴力を受けて死んで生き返って死んで、を繰り返すところは『九十九十九』に繋がるし、同じく『我が家のトトロ』の「僕」に見られる迷いやら何やらとそれを受け入れる家族(妻と子供)の図も『九十九十九』の最後に似通ったものが描かれている。
舞城王太郎の、まさに王道とも言えるテーマが3つ。短編というだけあって、『阿修羅ガール』ほど読んでいてしんどいこともなく、舞城ワールドにどっぷり浸かりたい人には少し物足りないかもしれない。
一方で『阿修羅ガール』『九十九十九』の前の導入としてはこれくらい軽い方が読みやすいと思う。舞城ワールドの手引きに、『煙か土か食い物』のあとに、『好き好き大好き超愛してる』と前後して読んでみると、舞城ワールド初心者は一気に彼の世界が近づくのでは。