コンピュータ業界の常識で言うと、何らかのシステムで所期の機能が全て揃っていないが一応動くという段階の版をアルファ版と言い、機能は揃っているけれども品質上の安定性が確保できておらず試用テストを要する段階の版をベータ版と言います。それらが全て解決された段階で初めて商用リリースバージョンとなります。
上のような定義から言えば、2010年9月下旬現在の本作品はアルファ版です。この段階で商用リリースするのは正直どうかと思いますが、所詮はゲームですので、これまでにもそうした段階で発売されてしまったタイトルが少なからず存在したのは事実です。しかし本作の場合は、最終的にこの作品がどのようなゲームになるのか見通しすら立ち辛いと言うべきで、アルファ版にしても少し異常な状態ではないかと思います。
例えば、ユーザインタフェースはMMORPGとして前作に当るFFXIと比べても大幅に悪化しており、多分今後抜本的な修正が入ると思われますが、それがどのような形になるのか、何せ現時点では新インタフェースのプレイアブルな現物も明快なアナウンスも無いので、最終形を推測できません。
また、PvPシステムの有無もMMORPGの性格を大きく左右するものですが、将来的に「多分やるだろう」というインタビュー時の発言があるだけで、本当にやるのか、やるとしてそれは何時か、どのようなPvPになるのか等々が全く見えて来ません。不同意PKは可能なのか、GvGやRvRはあるのか、PvPが苦手な人がそれを避けて遊べるものなのか、こうした基本的な仕様が未確定なのです。
もう一つ挙げればチュートリアルが実に貧弱です。ゲームを始めて何処にどんなコマンドがあるのか、普通はマニュアルなり初期の入門クエストなりでユーザに理解させるものですが、本作品付属のマニュアルとチュートリアルでは殆ど走って戦ってログアウトするくらいのことしか分りません。地図をスクロールさせるにはどうすればいいか、日常クエストの詳細はどうなっているか、採集や製作はどうするのか、ユーザはいちいち手探りで覚えることになるでしょう。如何にも開発の手が回り切っていません。
この有様では、今このゲームを買うことはもはや一般的なゲームの購入ではなく、言わば「投機」の一種です。うまくすればそのうち自分にとって理想的なゲームに育つかも知れません。でも悪くすれば自分が買ったのが実は全く好みに合わない作品だったことに突如として気が付く日が来るかも知れません。結局今現在確かなのは月額課金制であることと、現時点における使い辛いインタフェースと鈍重なサーバと、作業感の強い日常クエストの繰り返しだけです。
グラフィックスは確かに綺麗です。それでもこの水準のグラフィックスならば既存タイトルでも遜色ないものは存在します。全般に練り込みが決定的に不足したまま見切り発車してしまったようで、これは多分このゲームやユーザにとって大変不幸なことだったと思います。