ゲームコンテンツに何を求めているのかでこの作品の評価は分かれるでしょう。
グラフィックはPS3の性能を考えると若干荒く感じ、アクションバトルもRPGでは余り見られない弾幕攻撃等を除けばこれといって新鮮味はなく、楽しさも並。
「グラフィック」&「バトル」まずこの2点を重視するプレイヤーには若干ニーアは物足りない感想を持つと思います。
他、このゲームのマイナス面を上げるとすれば「クエスト」というサブシナリオを進めないとストーリーの全体像が見えてこないという事。
「クエスト」の全てがシナリオに関わっているわけではないのですが、それらをクリアするのに時間がかかったり面倒くさいものもあるので時間がないプレイヤーにはストレスがたまると思います。
ニーアはじっくりと腰を据えてやり込む事でその魅力がわかるタイプのゲームです。
次に多くのプレイヤーから高評価を受けている「音楽」&「ストーリー」ですが、これは本当に素晴らしいです。
「音楽」は公式サイトや動画サイトで聴いて頂ければおわかりのように物語を知らずとも心が揺さぶられるような切なく激しい旋律をどの楽曲も持っています。サントラは捨て曲なしの非常に秀逸な一品。後々プレミアがつくのは間違いないでしょう。
「ストーリー」は余程暗い話や報われない話が嫌いでなければ多くの方に受け入れられるであろうものになっています。
そういう意味では今作は王道路線なのですが、決してそれだけでは終わらない。このゲームは繰り返しプレイして全てのエンディングを見る事でこの作品のテーマを本当の意味で知る事になります。
完全クリアまでの条件は精神的に非常に厳しいものですが、そこに進ませるだけのパワーがニーアのシナリオにはあります。
他のレビュアーの方も書かれていますが「クエスト」でのひとつひとつの物語とメインストーリーが終結に向かって切なく絡み合っていく様は見事としか言い様がありません。
全てが美麗なムービーで語られるゲーム作品に慣れてしまった若い世代には、もしかしたらニーアのイベントシーンは「味気ない」「説明不足」「唐突」と感じられるかもしれません。
しかしこのゲームに関して言えばそれは意図的に「プレイヤーの想像力を誘発させる余地」を作っているように思います。
最低限の情報を提供し、受け手に様々な解釈をゆだねる。
これは古き良きゲーム作品の何ともいえないレトロ感と通ずるところがあるかと。
ムービーも何も差し込まれない、ただテキストを追うだけのゲームの物語に感動して涙したり背筋が凍るようにゾッとした事がある方は「あの」感覚と同じと思っていただければ良いと思います。
またRPGにおいて重要な「キャラ」ですが、主人公ニーアの仲間となるシロ、実験兵器7号、カイネ、各々が非常に魅力的に描かれています。
見た目や設定は逸脱していますが、中身は意外に愛嬌があったり可愛かったりしてとても愛すべき存在だという事が徐々にわかっていきます。
主人公の少年期から青年期への過渡期がありますが、そのブランク期間すら彼らの絆の深まりを感じました。
キャラクターに愛着が湧くからこそストーリーの悲劇性が強まるという鬼使用ですが、そうした一種のカタルシスを感じたい方にはニーアは本当にお勧めです!
ただ『ゲームをさせられている』のではなく自分は今『ゲームをしている』のだと
RPGゲームジャンルにおいてニーアは久方振りにそうした懐かしい感覚を取り戻してくれました。
全EDを見ましたが私にとっては間違いなく忘れられないゲームになりました。
全てが愛しい気持ちにさせられる作品です。
荒削りな部分はあれどそうした事すらどうでもよくなる程に今作にかけた作り手の愛を感じました。
ニーアを作ってくれてありがとう