スキャンダルという題名だが、それにあたるのは
「国立西洋美術館が買った贋作」とか
「美術品で裏金づくり」とか、いくつかの項目だけで、
多くは、戦後美術界が抱えてきた問題の提起ではあるが、
スキャンダルというのとはちょっと違うものが多い。
例えば、ある美術館での展覧会について、
「コンセプトがよくわからない」とか、
「安直な企画ではないか」とかの批評が並んでいるのだが、
別にスキャンダルじゃないですよね。
というふうに、「スキャンダル」を題名につけて
「題名買い」をさせようとはしているが、そのことを除けば、
「藤田嗣治は日本から追放されたのか」
「県立美術館は凡庸の極み」
「遊園地化する美術館」
「失敗した芸大の入試改革」
など、戦後美術史にとってのいろいろな問題点が網羅された力作。
著者の経歴を見ても美術とはまったく関係がなかったのに、
ここまで勉強して素晴らしい。著者の経歴にも注目。