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スウェーデン・パラドックス
 
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スウェーデン・パラドックス [単行本]

湯元 健治 , 佐藤 吉宗
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

高福祉のイメージばかりが先行するスウェーデン。しかしその高福祉は、激しい競争による高成長で維持されているのだ! 赤字財政と低成長に苦しむ日本への改革のヒントに満ちたスウェーデンの経済システムを解明。

内容(「BOOK」データベースより)

日本経済再生のヒントが満載。高福祉・高負担であるにもかかわらず、高い経済成長と高い国際競争力を常に維持し続けるスウェーデン。知られざる経済システムの謎を解き明かす意欲作。

登録情報

  • 単行本: 286ページ
  • 出版社: 日本経済新聞出版社 (2010/11/19)
  • ISBN-10: 453235448X
  • ISBN-13: 978-4532354480
  • 発売日: 2010/11/19
  • 商品の寸法: 18.8 x 13.4 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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By マルチちゅ トップ1000レビュアー
 安心して暮らせる高福祉国家スウェーデン。その国が、実は大規模な企業倒産や解雇を容認するような、激しい競争社会だと知ったら意外に思うと思います。「福祉=優しい」という単純な発想、またその延長線上にある「福祉vs競争」ではこの国の社会は見えてきません。高福祉を実現させるために、経済の高成長が必要であり、そのためには高競争力が求められる。福祉と競争の対立を乗り越えたところに、スウェーデン・パラドックスがあります。
 スウェーデン経済の特徴は(1)高競争力を促進する仕組みと、(2)その高競争力を維持するための福祉・平等的な環境整備が明確に制度設計されていることです。
 まず、(1)として、特に産業構造を円滑に転換することが重視されており、衰退産業を国庫で救済しないこと、余剰労働力を円滑に他の産業に移行させる労働市場・賃金体系が整備されていること、ないし教育のサポートが手厚いこと、国による教育投資が大きいこと、産官学の連携による研究開発が盛んなことが挙げられています。また、ITインフラの整備では世界トップ水準であり、労賃・法人税ともにヨーロッパの平均よりも低い水準に抑えられているため(意外!)、企業の海外移転を抑制し、むしろ最先端企業の誘致に成功しています。
 しかし、競争を促進しても社会が崩壊してしまっては意味がありませんし、競争力も持続しません。(2)福祉・平等的な施策は高競争力の維持のためにも機能します。労働力率、そして徴税率を高め、扶助負担を減らす女性の就労を保障する社会政策、安心して再教育を受け、労働市場に戻れる積極的労働市場政策、福祉(扶助)依存を抑え、自立へと促すインセンティブを内包した社会保障体系など、公平な競争を維持するための政策群が充実しています。
 ただし、競争の補完をするためだけに福祉があるだけではなく、福祉を実現するために競争が促進される。競争と福祉が相互に補完しており、相乗効果を発揮しているといえます。特に80年代の新自由主義政策の席巻以降、「福祉と競争力の強化は逆行する」という教義が一般化する中で、本書が描き出したような「福祉と競争は両立する」というテーゼはまさにパラドックスです。むしろ、両立してこそ効果が発揮されるのです。併せて、スウェーデンの経済、教育、福祉、行政、税制など、具体的な現状紹介も詳細で、イメージばかりが先行してなかなか実態がわかりにくいスウェーデンの社会・経済を知るには絶好の一冊です。日本社会の今後を展望しながら書かれているために、示唆に溢れています。ぜひ、多くの人に読んでもらいたい1冊です。
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16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
スウェーデンの経済の仕組み、税制、社会保障の仕組みを詳細に解説し、それらを分析することを通じて、日本の社会制度の改善の方向性を示唆している書です。

スウェーデンといえば、高負担、高福祉の国というイメージの国ですが、実際には、法人税率が低く、経済危機時にもつぶれる企業を救済しないといった政府の関与のない適者生存的発想に基づく強い産業作りを進めているという面や、働く(あるいは働かせる、と言ってもよいかも知れません)ことによって国民の自立を促し、社会保障という言葉に対して日本人が持つ「施し」的な位置づけではなく、高負担による高保障という、ある意味わかりやすい社会保障を実現しているという、これまた意外な面を明らかにしています。
こうしたスウェーデンの諸制度は、これからの日本の制度改革を考える上での一つの判断基準となるものでしょう。なかなか読み応えのある書です。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
漠然とした興味で読みましたが,なるほどスウェーデンというと高福祉高負担のイメージばかりだったけれど,それを可能にするだけの多様な仕組みがあることがわかりました。人口やGDPの規模が異なる日本に適用するにはいろいろなハードルがあると思われますが,日本の近々の未来を考えるうえでは,非常に有益であると思います。仕組みはもちろん,負担に耐えるだけの理屈をつくることが重要です。

終章の「スウェーデンから見た日本の未来への提言」はたいへん興味深く読みました。ただ,さまざまな問題を系統的に指摘することはできても,何を突破口にするかという現実的な戦略に学者がかかわることは,なかなか難しいのではないかとも思いました。

読み応えのある本で,漠然とした興味といったレベルの読者には,なかなか「入りづらい」印象はありましたが,目次が非常に親切で,項目の抜粋になっていて全体の流れをおさえられます。そのうえで,関心のあるところから読んでいくと,さほど難しいとは感じられませんでした。

これから日本が変わっていくのは必定であって,特に学生さんなどの若い人が読むと,たいへん勉強になると思います。
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