震災から半年以上がたっても、みんなが、世の中全体が「震災はまだまだ終わっていない」と感じているように思います。
日々、そういう空気の中に浸かって、肌からも呼吸して生きていると、知らず知らず…何なのでしょうか、疲れのような、力を失わせる何かが自分の中に入り込んで居座っているのを時折感じます。
原発にしても、被災して大変な思いをしている方たちに対しても、「できるだけのことを真摯にやっていこう。それしかない」と思い切っているつもりでも、無力感に襲われることもあります。
この本は、そうしたものを春風のように吹き払ってくれました。
この世界はいつでも淡くやさしい光にやわらかく包まれているのがリアルにわかって、私は芯から力が出ました。
よしもとばななさんの本はいつでも、感想が言葉にならない。
本当に優れた文学、人の力になる文学って、そうなのかも。
あまりに深いところ、言葉ではつかめない無意識のレベルから響いてくるから。
ただただ、人生は続いていく。何があっても、朝がくる。
新しい命が生まれる。子どもは笑う。花は咲く。
笑ったり、愛し合ったり、うらんだり、怒ったり…。
ああ、生きているかぎり、丁寧に生きていこう。
元気なときも、全然元気が出ないときも、一歩一歩、ただただ私の人生を生きていこう、
そう思いました。
今の私、そしてきっと震災後を生きる多くの人たちにとって、深いところから癒し、力を与えてくれる本です。
リアルな愛しい寓話です。
きっと、この本の存在価値やみんなに与えた影響は、あとでもっともっと明らかに見えてくると思います。