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著者のスイス紹介の立場は「十把ひとからげにして「スイス人」などといえる人は,実はどこにもいないのである(P. 226)」という,一定期間現地に滞在したとすれば当然のものです。「大使」という一般人とは異なる立場に居られたため,現地に在住する民間日本人の生活とはやや異なる点はありますが,スイス財界人との交際から得られた知見は読んでおいて損はしません。元が雑誌の記事なので,スイスについて知ろうとする入門書として適しています。「スイス 地球の歩き方」(ダイヤモンドビッグ社,2003)で触れられてはいても詳しくは分からなかったスイス建国史,EUや国連との関係等は本書が良い手引きとなりました。例えば,スイスが第二次大戦中にナチスとギリギリの外交を展開して,ほぼ無事に乗り切り,戦後経済的に反映したことから「「スイスだけがナチスとうまくやった」という,ほぼ共通の思いをヨーロッパ諸国の人々の間に植え付けたことも否定できない(P. 65)」という指摘はその土地にいなければ分からないことで,参考になりました。
また,著者は犬養道子女史の『私のスイス』(中公文庫,1988)を「私の知る限り最も優れたスイス紹介の書(P. 119)」と強く推薦しておられます。次につながる良い本です。
スイスとナチスとの関係については、
「黒いスイス」( 福原 直樹 (著))を読まれると、スイスに関する理解が
さらに深まります。
しかしながら、本書は、スイス大使という立場で出会った人、1人1人に暖かい視線を注がれるとともに、多分、かなりの時間をかけて調べられた資料、情報を、著者の力で見事に絡み合わせ、スイスを、より広く、深く、わかりやすく紹介しようとしている良著だと思います。
少しでも、スイスに興味を持たれた方が、もっとこの国を知りたいと感じられた時、お薦めします。
なお、本書は、スイスに関するいくつかの個人HPにおいて、いずれも好意的に紹介されていましたので、このようなレビューのタイトルとさせていただきました。
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