岩波少年文庫は、評価の定まった古典的名作や神話などを取り上げているというイメージだったが、この作品は新鮮だった。
20世紀の歴史好きのオランダの少年ドルフは、父の友人の科学者たちが作ったタイムマシンで、13世紀のフランスに遡るつもりが、ドイツに行き、そこで少年十字軍に巻き込まれて、現代に戻れなくなってしまうところから話は始まる。
少年十字軍についてはまるで知らなかったが、史実に基づいているそうだ。
現代の少年のドルフの目から見ると、神の啓示を受けた少年ニコラースと2人の修道士に率いられた少年たちが、イタリアのジェノヴァまで行き、そこでモーゼと同じく海を二つに切り開いて、エルサレムに渡るという話は、どうもおかしい。そもそも何故ジェノヴァなのか。方向が違うではないか。
疑惑を抱きながらも、統率が取れていない少年たちの行軍を見兼ね、友達になった13世紀の若者レオナルドともに、ドルフは少年十字軍に同道する。ドルフたちのおかげで、少年たちはそれぞれ持っている能力を発揮できるようになり、食べ物を調達したり助け合ったりしながら、東へと進んで行く。
はたして、彼らを待ち受ける真実とは・・。
歴史的事実を踏まえて、700年前のヨーロッパの風景が目に浮かぶような筆致で、冒険が展開されていて、ワクワクしながら一気に読んでしまった。ドルフの相棒となるレオナルド・フィボナッチは実在の数学者という設定も、興味をそそられる。
久しぶりに面白いタイムスリップ物を読んだ。