20年来、かねてから、宇野功芳氏らが望んでいたレーグナーのワーグナーの名曲が一枚に収録され、マイスタジンガー+ラインの黄金+トリスタンに、あの伝説の名演ジークフリート牧歌が組み合わされて、ベストアルバムが誕生した。
実を言うと、ジークフリート牧歌以外は初めて聴いたが、これは驚きの名演・名録音だ。オーケストラが素晴らしい上に(ブラインドではどこのオケか全くわからないだろう)、正攻法の堂々たる解釈で、本当に気持ちよく、体全体がリフレッシュされたように感じる爽快な演奏だ。マイスタジンガ−のティンパニには、特に拍手を送りたい。
そして、グールド盤に続く遅いテンポのジークフリート牧歌も、このリマスタリングでは、あの風呂場で録音したかのようなモヤモヤが晴れて、本当に残響の多い普通の好録音になって、管と弦が融合した最高の音響が聴ける。
30年前の東ドイツの底力を見たような気がする。この頃の栄光のサウンドを、指揮者もオーケストラも二度と取り戻すこともないまま、もはやどちらも存在しなくなって10年が経つ。月日の流れは速く、戻ることもない。ちょっとした寂しさ、感慨を持たざるを得ない・・・