このような本を読むのは、まさに精神の饗宴である。本のあっちこっちに、知の宝石が散らばっており、それに触れるたびであっと言わされる。ジンメルは女性、貨幣、大都市、橋、扉、モードなど身近の物事を、哲学的に本質まで追求していて、その眼の付け所のよさには圧倒される。また、今日に書かれておかしくないような内容を100年前に書いたということから、いかにジンメルがモダンな哲学者だったかのがよくわかる。本書の主なる線は、葛藤である。ジンメルは「主観と客観」「部分と全体」「表層と深層」「形態と素材、美と倫理」「よそ者と土着民」の観点から、これについて述べている。個人的な意見だが、まず最後の「近代文化における貨幣」を読み、その次に鈴木さんの解説を読んで、本文に進んだほうがいいと思う。