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誰もが感じたことのある、こうした感触を手がかりとして、著者は「個人」と「社会」とが相対する現場の緊張感や疎外感をジンメル社会学を通して読み解いていきます。
前半は、社会学になじみのない人向けの平易な導入部で、どうして社会学が学問として成立しなくてはいけなかったかという記述が興味をそそります。
中盤ではジンメルの<相互作用論的社会観>を軸に、個人がどのように「社会」を形成するのかを「自分らしさ」「自分と他人とのつながり」というキーワードを通して描いていきます。この部分だけのためにも一読の価値はあるでしょう。終盤では闘争、秘密がかえって社会性を高めるという一見矛盾した現象や、ジンメルの貨幣論が短く紹介されています。
ジンメルに宛てたラブレターであるかのように、著者の心酔は文章からもよくわかります。そのせいで、どこまでがジンメルの紹介で、どこからがジンメルに触発された著者の視点なのか判別しづらい点があるのもたしかです。しかし、ジンメル体験を通して読者と<つながろう>とする著者の暖かい文章が、こうした些細な欠点もこの本の魅力に変えているといえます。
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