驚異的なスピードで高度な内容の著書を発表し、今や、近代いイギリス史の若き大家ともいうべき
存在である君塚氏の最新作である。他のレビュー者が指摘するように、読み物としても興味深いが、
実は、史料と最新の研究動向を踏まえた、学術書としても価値の高い本である。ジョージ4世の人物像を語る章では、これまでの我が国のイギリス史の概説書ではあまり触れられていない、第一次選挙法改正までのイギリス政治史が、簡潔ではあるが的確に述べられている。また、公共建築、芸術の章は、いわゆる公共性、勲章の創設の章は、儀礼外交と王室の役割という、現代歴史学の最新のテーマが語られている。
当初は、評価されなかったが、後の時代においては大きな役割を果たした人物と、彼の治績というテーマは、現代日本の政治を考える際にも、有益な視点である。イギリス史の専門家にはもちろんのこと、
歴史学を志す学生、歴史、政治に興味をもつ一般読者にも、ぜひ一読をおすすめしたい名著である。