「ジョン平」三部作の完結編。このシリーズは、ちょっとだけ私たちとの世界とは違った世界に住んでいる、いろんな意味で少しだけ不器用な高校生の物語です。不可解な事件に巻き込まれた主人公は、持ち前の洞察力と勇気をもって謎に立ち向かいます。そして事態はやがて大事件へと発展し・・・。
主人公が感じている、そんなに深刻ではないけど常につきまとって離れない「生きにくさ」は、青少年時代には誰しも感じている(いた)ところでしょう。主人公は基本的には独りでそれに向き合わなくてはならない。でも、本当は決して独りではなくて、彼の使い魔ジョン平をはじめとする、完全に理解することはできないけれどそれでも信頼で結ばれた他者の存在に励まされ、助けられ。
そのへんの、青少年の自我と他者の関係の確立のプロセスが(って大上段に構えて書くのが恥ずかしくなるほど自然体の小説なのですが)、派手ではありませんが丁寧に描かれています。
いわばそれが「横糸」なのですが、一方「縦糸」である「事件」のほうはというと、魔法という一見何でもありな設定をもちこんでいるにも関わらず、ご都合主義や破綻を感じさせない計算されたプロットで、最後まで飽きさせません・・・まあ「敵」の目的が割とありがちかもという気はしないでもなかったのですが、全体からみたらそんなことは大した問題ではない。
書評子は著者である大西科学(ジャッキー大西)氏の雑文ウェブサイトの長年のファンです。短い雑文でのセンスの切れ味が長編小説でも損なわれていないかどうか、期待が大きいだけに心配もあったのですが、まったくの杞憂でした。久しぶりに良質のジュブナイルを読ませていただきました。