ジョンレノンのファンとしては、一読の価値ある非常にお薦めの本です。
特にジョンレノンを語る上で特に新しい側面というのはないのですが、ただ前妻の書かれた若かりし頃のジョンレノンの姿はどこか初々しさを感じました。
本書に書かれてあるシンシアとジョンの関係についてですが、私が受けた印象は、一種典型的なDVカップルの一組という感じでしょうか・・
DVとしても知られたジョンですが、本書からは、彼自身の心の傷を抑圧することで現れるDVとそれに自分の愛で精一杯応えようと奮闘するシンシアに、どこか共依存的なものがベースになっているように感じて仕方ありません。本書には、ジョンの彼女への愛がどれほど本物であったかを訴えるような文面がよく出てきます。それは当時は事実であったかもしれません。ですが、どうしてもそれが私にはシンシアの現実逃避のように見え、かえって痛々しく見えてしまう時もありました。
シンシアは妻として主婦として素晴らしい人であったということはよく伝わってきます。きっとジョンも一生懸命それに応えていたのだと感じます。ですが、ジョンの本分はアーティストです。言葉は悪いですが、少々イッちゃっているヨーコと出会った瞬間、それまで抑えていた本来の彼の何かが爆発してしまったのではないでしょうか?結果、ジョンはシンシアではなくヨーコを選んだ・・・、それほど彼の魂はヨーコを欲していたというだけだと思います。本書にはシンシアの愛する人をヨーコが彼女から奪ったというような表現がありましたが、誰も人の心を誰かから奪うことなど出来ません。人は誰かの所有物ではないのですから。こういう部分に、シンシアの心の傷がリアルに表れているように見えます。
147ページにこんな記述があります。
『ジョンが生涯に出会ったなかでも、私はだれよりも変わらずにい続けた人間だったと思う。ジョンに対して何も要求せず、批判もせず、命令もせず、しかも無条件でジョンを愛した唯一の存在だと思う。』
人は、成長して変わっていく。ですがシンシアの心は、昔の二人に執着することでを前進することなくジョンを繋ぎ止めようと必死だったのでは、と疑問を抱きます。残念ですが、結果としてジョンが取ってしまったシンシアへの極端な仕打ちは、彼女との決別だけでなく、まさに過去の自分との決別であったとも言えるのではないでしょうか?
ジョンと別れてから35年以上も経って書かれた本にしては、当時の内容に色褪せた感じがなく、シンシアにとってどれほどその別れが彼女の心を傷つけ、またそこから癒えることもなく長年苦しんできたのかが伝わってきます。ジョンと別れてから2度の結婚の失敗を考えると、疑問の余地もありません。これについてだけは、ジョンのファンである私も、もっと誠実に対処する方法はいくらでもあっただろうに・・と残念に思わずにはいられません。特にジュリアンに対してはなおさらです。
本書を読むことで、ジョンとヨーコの見方が変わる人もいると思います。
色々な感想はあるかとは思いますが、読む際には、これも当事者の一人が主観で書いた本であるという客観性だけは失わないで欲しいと思うところです。
現在ヨーコもジョンについて5年かけて本を書くといっています。
その内容がとても楽しみです。