こんなアーカイブがあったとは、ただ驚くばかりだ。ジョン・コルトレーン(ts, ss)のライブこそ我々にとって最も見たい映像であり、しかもそのパーソネルのすごさときたら、まさにモダンジャズの歴史そのものである。まず1960年3月28日のドイツの収録ではウィントン・ケリー(p)、ポ-ル・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)というカインド・オブ・ブルーのリズムセクションだが、驚くべきことに、途中からゲストでスタン・ゲッツ(ts)が加わり、ゲッツVSコルトレーンというアルバムでも聴くことができないバトルが展開。コルトレーンの音に比べ随分小さな音量という感はあったが、さすがはゲッツ、トレーンの音の大きさにひるむことなく、また対抗することなく自身の持ち味で最後まで貫き通したところは見事だ。わくわくするシーンだった。もう一人 オスカー・ピータソン(p)の参加も驚いたが、日本語表記のクレジットでオスカー・ペティフォードとあるのは明らかに誤り。1961年12月4日ドイツにて収録のエリック・ドルフィー(as, fl)、マッコイ・タイナー(p)、レジー・ワークマン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)のフォーマットも興味深い。ドルフィーの生々しいアルトとトレーンの対比も鳥肌ものだ。1965年8月1日ベルギーにて収録のジミー・ギャリソン(b)参加のオリジナルカルテットは、絶頂期のコルトレーンの姿を伝えるすぐれたライブだ。ナイーマ、 マイ・フェイヴァリット・シングズをはじめとする十八番をベストメンバーの充実した演奏で心行くまで堪能できる。60年から65年という後期コルトレーンの円熟したプレイをベストメンバー・プラス・サプライズ・ゲストというおまけつきで映像と音源で楽しめる文化遺産的DVD。普段CD以外購入しない僕が思わず衝動買いし、「眼から鱗」、「瓢箪から駒」のお得盤映像である。