伝記である「スティーブジョブズ」は本人のインタビューを元に書かれたものでジョブズ自身が残したかったストーリーであるが、本書は出版物や著者がこれまで多角的に入手した情報。更に、日本では数少ない直接ジョブズ自身にインタビューした経験などから第三者的な視点でのジョブズ論となっている。パソコンがマイコンと言われているときから同時期に体験した現在の40代から50代までの読者には懐かしく涙もののエピソードが多数であり、その下の世代はiPod,iPhoneでAppleを知りジョブズが何故こんなにも英雄視されているのかに関しての一つの解答書である。ジョブズを知る上で本書は同世代の著者が体験を元に紡ぎ出した歴史書としての価値は高く、後生に残るものであると確信する。多くの伝記や伝説は資料に基づき書かれている事とは意味あいが違う。本書に出てくるエピソードの半分くらいは他でも語られているものであるが、ここで初めて知ったことも多い。ジョブズに関して日本は特別な存在であり、Appleは日本が無ければ会社としてここまでこなかったと言うことを再確認させられた。20年ほど前までのホンダやソニーを見ているよう。日本では残念ながらそのようなインパクトを与える会社が出てきづらくなってきているが、著者は本書で日本復活のヒントをジョブズの生き方や日本からの影響などから見いだしてもらいたいという意志を感じた。伝説という価値だけでは無くビジネス書としても価値ある一冊だと思う。