1998年5月バーバンクでのスタジオ・ライヴ。ステージ・フロアの周囲を背の低いソファ等がすり鉢状に囲み、アルバム・ジャケットになった絵等ジョニの絵画作品が壁に飾られ、300人弱の観衆の中で、ロザンナ・アークェットの紹介に続いて演奏が始まる。ジョニのライヴDVDと言えば、シャドウズ・アンド・ライト、放浪、そして本作が頭に浮かぶが、その中では本作が最高だ。観客の「肌がきれいよ」の呼びかけに対して「ありがとう。髪はどうかしら」と応じたり、ディランが歌ったビッッグ・イエロー・タクシーではディランの物真似をする等、リラックスした雰囲気でジョニものっている。他のライヴDVDにない本作の最大の特徴は、ジョニのエレキ・ギターの演奏をたっぷり堪能できること。ジョニが演奏する楽器はエレキ・ギターだけ。1人の弾き語りの時はもちろん、バンドをバックにした時もほとんどの曲でエレキ・ギターは彼女1人(ペダル・スチール担当の人はいるが)。アルバム逃避行で確立したジョニにしか出せないエレキ・ギターの音が好きな人にはたまらないだろう。曲は初期のものから当時発売直前のテイミング・ザ・タイガーのものまで良い曲が選ばれている。3曲だけ彼女はヴォーカルに専念するが、何れも他人の曲。ホワイ・ドゥ・フールズ〜ではバックアップ・コーラスは観客席におり、マーヴィン・ゲイのトラブル・マンはジャズにアレンジされ、ビリー・ホリデイのナッシング・キャン・ビー・ダンではダンスも披露し、趣向を凝らしている。バック・バンドのベースは元夫のL.クラインで、観客席には昔の恋人G.ナッシュがいるが、彼の目的が何かは観てのお楽しみ。彼女の声に昔のような高音ののびはないかもしれないが、私は本作の燻銀の声も好きだ。映像に控えめに挿入される絵も素晴らしい。私は現時点でジョニの最高のライヴDVDとして本作を薦める。