王道とも言える少年マンガのバトルもの。その表現は古くは色々な格闘技の流派を出す事
に寄って変化を付ける時代があり、そこから破壊力勝負の流れとなり、破壊力の表現が
行く所まで行くと数値まで出してより強い敵を表現。でも力の争いは所詮、より力の強い方
が勝つと言う単純な図式でしか無く、際限なき破壊力のインフレは作品自体を破壊して終焉を
迎える袋小路に突入。※脇道として、ヤンキーものなんかだと、「どれだけ人格的に破壊
されてるか」比べってのもありましたねw
JOJOはその袋小路に入り込んだ王道バトル少年マンガに対して、そして他の漫画家に対して
の救世主、福音となった作品だと思います。
スタンドと言う超能力の概念の新しさもさる事ながら、特殊な能力による頭脳戦と言う戦いを
少年マンガの世界にもたらす事により、果てしなく戦いを続ける事が出来ると言う、まさに
マンガ界に取ってはノーベル賞ものの発明。
事実、JOJO以降、少年マンガでは明らかに流れが「能力バトルもの」へとシフトしたように
思います。ただ、本家であるJOJOほどにこのシステムを上手く利用し、運用出来ている
作品はありません。作者自身のアイディアの限界か、はたまた王道少年マンガの宿命なのか、
いつの間にやら懐かしい破壊力のインフレの世界に戻って行く作品の多い事。
ただ、このJOJOにもなかなか悩ましい点はあります。それは、スタンドの能力がどんどん
「複雑で訳の分からない能力」になって行く事w
その点この3部はスタンドと言う概念を導入した始めての作品なので、最初はスタンドの能力が
とても素朴で分かりやすいです。承太郎のスタープラチナなど最初は何の特殊能力も無く、正に王道
少年マンガの主人公宜しく「高速でハイパワーで精密」という何のひねりも無いもの。他にも
炎を操る、騎士、など普通に戦闘能力と言える能力が多く、戦いも力、体力勝負と言った側面が多く、
割とあっさりと決着が付くことが多いです。
それでも話が進むにつれだんだんと現在にまでつながる、「何の役に立つか分からないような
妙な能力」を駆使しての、展開が二転三転する頭脳戦、正にJOJOの醍醐味、真骨頂と言える戦いに
突入して行きます。個人的にはダービー(兄)戦が好きですね。彼の能力は賭けに負けた相手の
魂を奪うと言う物ですが、賭けをして勝つ手段は純粋に彼自身の頭脳によるものであり、スタンド能力
に頼ったものでは無いという、頭脳が主でスタンドが従、というスタンドと言う超能力を題材にしながら
「能力が強いものが勝つのではなく頭の良い方が勝つ」と言うJOJOの基本が良く出ているエピソード
だと思います。
そして主人公「承太郎」。JOJOシリーズを通して最も長く登場し、スタンド能力、精神力共に
JOJO作品世界において最強の主人公と言って良いでしょう。でも逆に最強の主人公がこの3部の
時点で出てしまったにも関わらず後の主人公達による作品世界がパワーダウンせずどんどん加速して
行くというのもまたJOJOという作品の凄いところでもあります。
JOJO以前とJOJO以降。王道バトル少年マンガの歴史の変わり目がここにあります。