主人公のジュンは、ある大きな家の一人息子ですが、母親は死別、父親は別の女性と再婚した後で姿を消してしまいます。ところがその女性(つまりジュンの継母)は、二人の娘を養う金欲しさにジュンの父に近づいただけで、当然ジュンへの愛情はゼロどころかマイナス。
継母は「貴方(ジュン)のお父さんを愛しているのに、貴方を押し付けて蒸発した」として、娘と共にジュンに悪口、暴行、食事を与えないといった家庭内暴力を繰り返します。
ジュンは父親が残してくれた銀のロケットを開くことで、魔法世界へ行けることを知ります(逆にロケットを閉めると元の世界に戻れる)。継母と義姉に苛められた後、父を求めて魔法世界を旅し、そこでさまざまな教訓を知るが父は見つからずに現実に戻り、また継母と義姉に苛められる…、
を繰り返すジュン。
この作品を一言で言いますと「石ノ森流アレンジ童話」。白雪姫、人魚姫、ガリバー旅行記等の有名なおとぎ話や恐竜、吸血鬼等をモチーフにした世界で、読者に様々な教訓を伝える1話完結の物語です。
「
ジュン 1: 章太郎のファンタジーワールド ジュン」でも描かれた幻想的な世界は本作でも健在。冒険の後でジュンが見た夢は何を意味するのか等、読者の想像力を刺激する描写が至る所にちりばめられており、「大人の童話」としても通用するでしょう。
ただ、タイトルにも書いた通り、継母とその娘たちによるジュンへの暴力描写がとても痛々しいです。家庭内暴力が無かったのは全13話中、「イソップ」の巻のみ。それ以外は最低でも1ページ、家庭内暴力のシーンがあると思ってください。
それと、ジュンは孤独です。仲間として言葉をしゃべる犬のチビ、紅一点であるアヒルのルー、ロボットのガランドー、首長竜のドラコンがいるのですが、それはあくまで魔法世界での話。現実ではチビは小さな子犬であり、ルー、ガランドー、ドラコンもただの玩具、当然しゃべることは出来ません。
前述の家庭内暴力と合わせると、ジュンの悲愴が嫌というほど感じられます。
とは言え、それで本作を敬遠するのは惜しい魅力があるのも事実です。
【以下ネタバレ】
本作は掲載誌が休刊になってしまったため、所謂「打ち切りエンド」で終わっています。