「料理」が人生を変えたこと、そして最も良き理解者である夫の存在がそれには不可欠だったこと、ジュリア・チャイルドとジュリー・パウエルにはこの二つが大きな共通点と思います。逆に、“思わず期待してしまう予定調和”が本作にないのは、ジュリーの生きている時代があの9・11の翌年であることと彼女の仕事内容から、エフロン監督はファンタジックな味わいのストーリーだけに、リアリズムは必要と判断したからではないでしょうか。
二人の女優の演技は、それぞれに最高です。ストリープがその独特の話し方や雰囲気を徹底するほどに、アダムスがレシピ再現に入れ込むほどに、観る方は感心し、そして心地よい可笑しさに包まれます。ストリープ&トゥッチの“プラダ”コンビ再現も僕にはとても楽しかった。
ジュリアにとっての8年の歳月とジュリーの“たった”365日、しかも半世紀隔てた二つの舞台、これを見事に一体化させた監督の手腕に心から拍手を送ります。