70年代の末ハリウッドを席巻していたのはSF映画であったが、その陰で静かなブームを起こしていたのが女性映画と呼ばれるジャンル。中でも、その格調高さと志に感服してしまったのが「ジュリア」、待望の初DVD化だ。
内容については言うまでもないだろう。ダシル・ハメットとリリアン・ヘルマン。アメリカを代表する作家と劇作家ふたりの共同生活から始まり、ヘルマンが無比の親友ジュリアの懇願と再会を果たすべき危険な道行を実行する。
文芸、サスペンス、社会派とオール・ラウンドで名作を手掛けたフレッド・ジンネマンの演出と、ジョルジュ・ドルリューの情感深いテーマ曲がお見事。
俳優陣が素晴らしい。アメリカの男らしさと包容力を体現したかのようなジェースン・ロバーズも魅力的だが、やっぱり光輝いているのはジェーン・フォンダとヴァネッサ・レッドグレーヴ。
米英それぞれの俳優・演劇界の名家に生まれ、女優として名声を博しながらも、方やベトナム反戦&ウーマン・リブ運動の、方やパレスチナ解放運動の闘士としての、役柄を地で行く筋金入りの社会運動家でもあったふたりが表現する自由で奔放、信念と勇気の友情のドラマに心打たれる。
その年のオスカーの助演女優賞に輝いたレッドグレーヴの受賞スピーチでの反シオニズム宣言は、後のマイケル・ムーアの反ブッシュ発言と並び評される政治的発言だった。
今でこそ、すっかり収まってしまった感のあるフォンダだが、レッドグレーヴを尊敬し、娘にヴァネッサと名付けたのは有名な話だ。