文科省科学技術振興調整費で2005年度から5年間、「科学技術ジャーナリスト養成プログラム」(早稲田大学・修士課程)が設置されました。本書はこのプログラムで開催されたワークショップの講演記録を中心に14章で構成されます。
ジャーナリズムのあり方について歴史的認識から問いかける第1編、科学技術報道で不可欠な調査報道の実際やマスメディアの現場について述べる第2編は科学技術ジャーナリズムに関心ある人には興味深い内容といえます。これに対して、過去の報道の分析手法などを述べる第3編はジャーナリズムを研究する人にとって興味をもたれるものと思います。第4編の14章の最後に目指すべきジャーナリスト像として「T字形のジャーナリスト」と語られていますが、これが本書の肝だと思います。この理想に向かって各マスメディアが努力して欲しいと思います。
なお、上記のようにワークショップの講演記録という性格から冗長な文章が目につき、また、「この部分は本書に必要か?」と気になるものもあります。編集面でもう少し推敲が必要であったと思います。
本書と同時に科学コミュニケーション叢書として『科学技術は社会とどう共生するか』が発行されていますが、本書を先に読んでからそちらを目にすることをお勧めします。