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長嶋作品は、芥川賞の「猛スピードで母は」を読んで、小難しい難解な文章だけが、文学じゃないって評価されたようで、とても素敵だなと思っていましたが、この「ジャージの二人」にも同じ感想を持ちました。
あまり売れていないカメラマンの父と、売れない小説を書いているらしい息子がふたり、胸に小学校の名前の入った古着のジャージを着て、群馬の別荘とは名ばかりの小屋で、夏休みの終わりのような一週間を過ごす。
なにがおこるわけでもなく、二人でそれぞれの鬱屈した思いを抱えながら、淡々と日を過ごしている様子が描かれていますが、とりたてて面白いわけでもないのに、思わず笑ってしまうユーモアが、とてもいいです。
だいたい「だいの大人」がふたり、胸に刺繍の入った古着のジャージを着ているところを想像しただけで、なんか思わずニヤッとしてしまいますよね。
人に何かを伝えるのに、やさしい言葉で判りやすく、平明に書くというのは、実は一番難しいことではないかと常々考えていますが、この作者は、推敲に推敲を重ねたであろう文章を、ちっともそんな風に感じさせないよう、するっと差し出してくれます。
読みやすくて、ほんわりしているのに、胸にじわっと残ります。
この物語で面白かったのは、息子である主人公と、その父の会話のやり取りです。バツ2だけれど特にダメ親父という訳ではなく、かと言って威厳のある父でもない。「友達親子」と言われるようなぁなぁの関係でもない、父と息子の程好い距離感が軽妙な会話に現れています。こういう風に淡々と子供を愛してくれる父親って理想だなぁ…と感じました。
この物語では主人公はまだ再生の途中。「パラレル」で初めて物語が完結してると言えるのでは?と思い☆4つにしました。「パラレル」も是非!読んでみてください。
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