1981年製作。この時代日本においては、1982年2月に日航機羽田沖墜落事故が起こっており、タイミング的に公開は不可能であったろう。
虚構と現実は全く別物ではあるものの、明確な人災である点が世間を震撼させた上、本作の実に緻密な事故現場の描写もまた仇になったものと思われ未公開作品だったわけだが、このほど漸くソフト化されたのだ。
冒頭の、「だるまさんが転んだ」をして遊ぶ子供達の意味深な描写の直後、文字通り叩きつけるように、離陸直後の旅客機墜落シーンへと移る。迫り来る機体から逃れる地上の人々、大破炎上する機体、パニックの中奔走する消防隊や救急隊、ワラワラと集まるマスコミと、墜落シーンの迫力は実に見ごたえがある。
更に翌日、事故現場のセットや小道具の作り込みは実にリアルに凄惨であり、心が痛むと同時に業の深い嘆息を禁じえない。こうした、大小機体の残骸はラストまで出ずっぱりであり、全編の八割は特殊美術の良い仕事を堪能できるという、その点だけでもお買い得だと思う。
おそらく、制作費の殆どをカタストロフの描写に突っ込んでいるのであろう。その分、乗客300人分の浮かばれない霊魂が巻き起こす心霊現象描写は、ローコストハイパフォーマンスを要求されるわけだが、これもまた、良い仕事をしているのだな。美人霊媒師ホッブスのトランス状態や、ポルターガイストなどの心霊現象には、常に墜落シーンで使われた乗客たちの阿鼻叫喚の悲鳴のSEが襲い掛かる。怖いちゅうより悪趣味なのだが、情感は満点。
そして洒落にならない事故の真相(映画のオチではない)と。プロットやテンポに若干の古臭さは感じられるのは致し方ないが、じっくりと見せる逸品である。