表紙の帯には「本書のテーマは失踪である」と書かれているが、失踪した側に立った描写は皆無であり、失踪された側からの描写に終始している。むしろ人は自分の前に現れた不可解な出来事とどのように折り合いをつけ、やがてそれを受容するに至るのか、その過程を描いた小説といえよう。
おもしろい箇所がある。一人称で小説を語る三谷が、読者に対してある隠しごとをする。ひとりの人物について述べるとき、彼の語り口調は途端に歯切れが悪くなり、いかにも描写をあいまいにしたがっているのが明らかだ。もちろん著者の意図的な仕掛けで、ぼかす理由は後に判明する。彼の隠しごとは、ガールフレンドの失踪と大きく関係していた。その判明が小説のクライマックスだ。緻密なミステリーとは言い難いが、読者の興味を途切れさせることはない。意図的に隠ごと事をする三谷は、実は失踪の理由を半ばわかっていたのではないか…。読後、そんな三谷を滑稽に思うかもしれないが、読んで身につまされる男性も決して少なくないだろう。(岡田工猿)
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佐藤正午の「かっこつけ(キザ)文体」にはまれるかどうかがすべて。はまるひとはずっぽりはまるでしょう。私はそうでした。あと、もうひとつ。完全に男性、それも、私のような、「優柔不断、かつ、かっこつけ」男性向けのおはなしです。
作中に出てくるアブジンスキーというカクテルが飲みたくて仕方なくなり、バーで飲んでみました。調子にのって5杯。もちろん、前後不覚状態におちいりました。
読み終わったあと、男性は、自分の隣にいる女性(奥さんとか彼女とか)のことを少しだけ疑ってしまうかもしれません。
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