これは賛否が分かれそうな内容の映画でした。
一番のポイントは、主人公が「小悪党」であるという点。
スパイダーマンやバットマン、ファンタスティック4などの主人公達は特殊能力や驚異的なテクノロジーを持ち、正義のために活躍すると同時に、おのれの存在価値に悩むところもあって、感情移入しやすい。だから面白い。
でも、この「ジャンパー」の主人公ときたらご都合主義の理屈ばかり並べて、結局、自分が楽するためだけに能力を濫用し、ロクに働きもしないでヒロインと世界旅行(もちろんタダ)。
たしかにこんな能力を野放しにしていたら世の中の為にならないのだから、人知れず駆逐されるべきだし、そんな敵側の主張が、あまりにも理にかないすぎていて、ぜんぜん主人公に感情移入できないのですから、見ていてカタルシスが得にくいです。それが、この映画の最大の難点。
ただ・・・ふと考えてみれば、「普通、こんな能力が備わっていれば、私利私欲のためにつかうよなぁ」とも思うんですよね。そう考えれば、突飛な設定の中で人物描写だけはやけにリアルなのかもしれません。超能力があれば誰だって少しは私欲のために使いたくなるでしょ?
あえて、主人公の名誉の為に言えば、彼は「自分の能力が世の中の為に役立てるかもしれない」ことは感じているのです。そのことが示唆されているシーンが私の中ではベストシーンでした。
よかった点は、映像の迫力。瞬間移動という能力を活かした敵との攻防も見ものです。
この映画単体で評価を下せば、諸手をあげて面白かったとはいえないですが、続編がでるのであれば、ぜひ見てみたいところ。果たして、主人公は能力の正しい使い方を見つけるのか。それとも、タダのコソドロで終わるのか。その結末だけは知りたいと思いましたし、また、伏線となるような未完結の設定も多々あるので期待したいと思います。