この本の真の価値のわかる人間は歴史というものを知る人間に違いない。
歴史とは何か。それは先人の心を愛することであり、魂を継承することなのだ。
ミシュレはフランスを愛した。その研究が小説的であると批判された時期もあるが、彼こそが真の偉大なる歴史家なのだ。
過去の人物を愛し、その魂の道程を取り上げずに何の歴史か。
「およそキリスト教徒でありながら幻視をしない人間はいなかった」と言う。彼のこの言葉には過去の人間の澄み切った魂を愛する心がある。
「列聖もされない、礼拝もない、祭壇もない。誰も彼女には祈らなかった。しかし、ひとは涙を流すのだ。」これこそがミシュレがジャンヌ・ダルクを取り上げた心なのだ。
彼女の崇高な魂を自分が愛するフランスとして刻印せねばならなかった。ジャンヌの生涯こそがフランスの魂であることを人々に訴えねばならなかった。
ミシュレの輝ける研究の中でも、とりわけこの本の持つ意義は大きい。真に価値のある書物である。