この本を読めば、MAYAという魅力的なシンガーの現在を知り、CDやライブの魅力をより増すことができる、それがこの本「Mayaのすべて」だと思います。
「Mayaのすべて」と言っても、彼女の本名とか経歴のすべてが書かれているわけではありません。彼女の生い立ちについてなら、いつかの読売ウィークリーの記事のほうが詳しいです。
MAYAという歌手は、彼女本人が努力して作りあげてきた存在で、カント〜ショウペンハウエル的に言えば、ひとつの表象です。ただそれは、寺島さんとのインタヴューで出てくる「バーチャル」というイメージとは少し違うし、MAYAという存在が「作り物」とか「虚像」というわけではありません。
それは、この若さにして幾多の試練を乗り越えて来た中で、彼女自身の「こういうシンガーでありたい」「こういう表現をしたい」という強い意志、そしてそれを実現していくための絶えることない日々の努力があり、それが結実した存在が視聴者にとっての現在のMAYAというシンガー、表象なのだと私は認識します。
しかし、このMAYAという表象は、なかなか複雑な多面性を有していて、繰り返し視聴するたびに、新たな魅力を発見できます。しかも、彼女自身、着実に変化・成長をしているから、その表象を単に楽しむにしても一筋縄ではいかないわけです。
もっとも、だからと言って寝転がって聴いてはいけないということはないし、カーステで聞き流しても、ライヴで居眠りしていても彼女は怒らないと思いますよ。たぶん。
この本は、そんな彼女の強い意志、そして彼女をとりまく多くのスタッフやファンの熱い想いがいっぱい詰まった内容です(まあ、彼女の音楽とあまり関係ないことを多く述べている人もゼロではないですが)。彼女の強い意志や他の人たちの熱い想いに触れることにより、読者自身、MAYAという表象の認識、楽しみ方が変わっていくでしょう。
この本を読んで彼女自体を認識できなくても(そんなことは不可能でしょうけど)、読者自体は少し変わります。少なくとも、変わるためのヒントがたくさん詰まった本と言えるでしょう。
もともとMAYAファンである人にはさらに魅力を増す必携のコレクターズアイテムであるとともに、ファンというほどでもない人でも、この本を読めば必ずMAYAのCDやライブに対する興味が増し、もっとMAYAを視聴したくなる、もっとMAYAを楽しめるようになるのではないでしょうか。
ミュージシャンについて書いた本としても、たぶん今までにあまり無かったタイプの良い本ではないかと思います。