ジャズ喫茶はかつて一つの文化だった。ミュージシャンや音楽評論家ばかりがジャズ喫茶で育ったのではなく、詩人、小説家、画家、デザイナーといった人たちがジャズ喫茶でジャズを浴びるほど聴いて大成していったのだから。失われようとしているジャズ喫茶の文化の根源を「おやじ」本人の口から聞き出した本書は私が長い間求めていたものである。ただし、新宿のDIGが出てこないのはやはりおかしい。あと東京・関西以外の地域の店がほとんど紹介されていないのが、残念。ジャズ喫茶巡りの楽しみはその店のマッチのコレクションでもあったから、全国のジャズ喫茶のマッチなども紹介してくれればこの本の満足度はもっと上がったかも。