寺井尚子さんの身体全体でリズムを取りながら演奏するライブを一度でも生で視聴すれば,その美貌と微笑み,スリリングな演奏に魅了されリピーターとなる人が多いだろう。したがって,東京のジャズクラブでは,サテンドールでもスイートベイジルでもすぐに予約で一杯,寿司詰め満員状態となる。
演奏は,いかにもジャズヴァイオリンという曲もあるが,ヴァラエティに富んでおり,時に実にスリリングだ。特に中沢剛氏のドラムスが,ジャズ系プログレないしカンタベリー音楽的なスリリングなスタイルを打ち出しているように感じられるときは,プログレ的雰囲気も醸しだされ,実に魅力的である。全体に,しっかりアレンジされていながら,アドリブ的要素もたっぷりというバランスも気持ち良い。ピアノ,ベース,ギターとのコンビネーションは,息の合った熱気を生み出す。
CDにおいては,ライブに比べアコースティックさが際立つ。ライブでは,小さなマイクで拾われたヴァイオリンの音がPAを通して再生される際,ジャズクラブの再生機器・音場のせいか,ヴァイオリンの音色が電気ヴァイオリン的に響く。元プログレマニアの私は,電気ヴァイオリンの音も好きだから,それ自体は問題ないが,CDを聴いていると,アコースティックさが際立つように感じる。これもCDならではの魅力と言えると思う。
このアルバムは,曲も演奏も粒が揃っており,ライブの定番で北島直樹氏の代表作とされる「ラグな気分で」も収録されており,ファン必携のアルバムと言えそう。CDエクストラで収録されているビデオクリップでは,寺井尚子さんの躍動的な演奏を観られるし,ジャケットの写真も良い。
かなりおすすめのアルバムである。