人間誰しも、自分で思っている得意なものがある。人によっては文章がうまかったり、野球がうまかったり、サッカーだったり、英語がしゃべれたり・・・。この物語の主人公の白人少年は、トランペットがうまい。だが、それを自慢にしていた甘いうぬぼれと夢は、憧れの前衛ジャズミュージシャン・ピアニストのモーゼ・モンゴフリーに会い、一言、「お前はミュージシャンか?」という問いかけの前に挫けてしまう。「音楽で自己を語る」という、ミュージシャンとしての覚悟を聞かれたのだが、これに対して、まともに答えることができないわけだ。そんな「ボク」が、モンゴフリーや仲間達と出会いながら、自己表現としての音楽(ジャズ)を発見していく様を描く青春小説、それが、この「ジャズカントリー」だ。今、何がしかの仕事を始めてすでに二十数年経つ自らの姿を省みると、得意なはずの仕事や趣味などで、どれだけ自分を表現しているか、はなはだ疑問なのだが、そんな自分に対してもまだ何かを探せる気力を思い出させてくれる一冊だと思っている。何か好きなものがある全ての人々にオススメの本。