タイムトラベルSFでありますが、ネタ的には普通。また、拘束具を着せられ、死体置き場の引き出しに閉じ込められると発生するというタイムトラベル理論がよく分からないのが引っ掛かりますが、それでも観た後に切なくて優しい気持ちにさせられるという不思議な作品になっています。ホラーになりそうな(?)設定
をポジティブに捉えて活用しているからかな。
なぜ、彼はタイムスリップしてしまったのか? そもそも2007年の世界をさまようのは、ジャックの肉体なのか? 精神なのか? 彼の肉体は1992年に拘束されたままだが、その姿は2007年の人々にも見えている。全てはジャックの妄想という可能性も捨てきれない...。
そんなSF的疑問に明確な答えを出さないまま、ジャックが陥る五里霧中の状況を観客にも『体感』させる点がユニーク。たとえば、プロローグの湾岸戦争で傷つくわけですが、なぜあのシーンが必要だったのか? これが伏線としてちゃんと生きており、細部まで綿密に組み立てられていて、感心させられます。
多少のエフェクトはあるけど、SFXを多用した派手な作りではありませんが、地味だけど味わい深い。
エイドリアン・ブロディは切なさを演じさせたら「戦場のピアニスト」以来のハマリ役だし、キーラ・ナイトレイも好パフォーマンスでした。音楽をなんとブライアン・イーノが担当しています。