イアン・カラムがジャガーに入って以降、そのデザインは「レトロモダン」から一気に「モダン」へとシフトしました。
現行XJはモダンへと大きく舵を切ったジャガーを最も体現するモデルであり、それを掘り下げているのがこの一冊です。
内容は勿論いつもの「すべて」シリーズ。
モデル解説、内装解説、購入ガイド、豊富な写真は、モダンとなったXJを様々な面から切り取っています。
僕が注目する記事としては、四国〜東京の長距離ドライブをとりあげたもの。
記事によると、ガソリンスタンドの店員さんなど、行く先々で人々に声をかけられたとのこと。
目新しく格好いいデザインの高級車ではあるものの、人々から親しみも覚えるということでしょうか。
やや物足りないと感じたのは、1600km以上の行程でグランツーリスモとしてどうであったかの掘り下げ方が足りないこと。
ただし本文によると、ストレスと疲労は少なかったとのこと。
当たり前の事ですが、高級セダンとして欠くべからざる機能はきちんと備えていると解釈しました。
スタイルは現車で確認した方がより分かりやすいのですが、シンプルな塊の中で流麗さを表現したそれは幾多の写真でも理解できます。
洗練された豪華な内装も同様。
多面的にデザインを見られるというのは、その車種の為に多数の誌面を割ける「すべて」シリーズならではです。
特にCピラーに貼り付けられたガーニッシュが、デザイン上重要な役割を果たしている事が良く分かります。
最近はさすがに少なくなりましたが、本邦メーカーの一部は機能上は無論のこと、デザイン上の必要性も良く分からないガーニッシュを使う事があります。
デザインの原理原則がどう違うのかは分かりませんが、使い方の上手さはさすがジャガーだと思いました。
最後にもう一つ気になった記事を。
歴代XJを綴った特集があり、最初のXJが当時の欧州車としては実に流麗でモダンな車であったことを改めて認識しました。
いつの間にかメーカーも顧客もこの美しいデザインに束縛されていたわけですが、それは自動車デザインの発展を半ば放棄したとも言えます。
1960年代当時の人々がXJに触れた時の感動を、現代人はこのXJで再び感じられるようになったのかなと思います。