インパルスの盟友、ゲイリー・マクファーランド(marinba)馴染みの
アーティストを迎え、ガボール・ザボ(g)が残した1965年の録音。
その中には当時まだバークリー音楽院留学中だった渡辺貞夫(fl)も
全面参加しており、日本人としても馴染みの深い作品となっている。
本作は、ビートルズやバート・バカラックといったポップチューンを
前面に押し出しており、バップ全盛期に衝撃的なジャズを展開した。
それはアナログフュージョンの原風景といえるもので、ポップスを
扱っているとはいえ、斬新というべきか独特というべきか、極めて
個性的な解釈による演奏で、今聴き返しても少しも色褪せていない。
ガボール・ザボの淡々と反復し続けるギターリフは、荒野をひたすら
歩き続けるジプシーをイメージするのに十分。1曲目のビートルズ
の「イエスタディ」等、あまりのドライさに違う曲にすら聴こえる。
このような革命的な作品をプレスすることは、大きな賭けでもある。
ガボール・ザボを「水を得た魚」たらしめたのはインパルスの大きな
功績といっても過言ではないと思う。
バップという確立されたジャズの1方向性に視野が狭くなっていた
ジャズアーティスト達の目を見開かせた記念碑的な作品である。
明確に趣味が分かれる作品といえるかも知らない。しかし、時間を
かけて聴いていくうちに段々と耳に馴染んでくる音なので、一聴し
止めてしまうのは非常に勿体無い作品である。