豊富なデータで経済状況を分析する三橋氏の日本経済論です。
ここのところ、極端な日本経済駄目論は姿を消しましたが、それでも一時期の
「失われた10年論」の印象が余りにも強烈だったのと、現状の日本の景気が
必ずしも好調という訳では無いため、悲観論はマスコミで根強く残っています。
この本では、根拠無き悲観論を振りかざす人達を「日本破綻原理主義者」
と批判します。(この表現は言いえて妙。レッテル貼りに使えそう。)
日本の赤字は膨大で、赤ちゃんからお年寄りまで多額の債務を背負っている。
ツケを子孫に回すな。というプロパガンダは散々聞かされました。
しかし実態は「日本の赤字」では無く「日本政府の赤字」。それも日本政府が
所有する金融資産については全く論議されていません。それが、どういった
意味なのか、会計学の手法を用いて丁寧に説明しています。
難しい経済のことを述べた本にしては、平易な語り口で、非常に読みやすいです。
また、豊富なデータに裏付けされていますので、「日本すばらしい」を繰り返す
だけの安直な本とも違って説得力があります。
では、日本は磐石なのか?
ここからが、この本の主題です。確かに本書で指摘している様に、今の日本には
来るべき新世界を開く「人」、「物」、「金」に恵まれている様です。今の世界の
経済情勢を考えるとそれは凄いことです。しかし、それを本当に生かせるのか?
それとも他国に利用されるだけの存在になるのか?
今、重大な分岐点に立っていること。
それを生かすことができるかどうかは、私達しだいであること。
それこそが、本書で作者が言いたかったことだと思います。
お勧め。