本書から得られる情報はパキスタンの政治情勢を理解するうえでとても参考になりました。例えば殺害された米紙記者の事件の背景や、パキスタンのイスラム勢力、また軍の内情などについて英語圏の新聞・雑誌記事ではわからないことが多く含まれています。
翻訳の評判がよくないようですが、訳語が一部統一されていなかったり、MI6のIが1になっていたりという校閲が悪い部分が確かにあります。また全体に若干直訳調の部分がありますが、あまり抵抗なく読めました。これは文芸書ではありませんし、翻訳がひどい本ならほかにいくらでもあります。小さなことで全体の評価を誤るべきではありません。
日本語版の出版にあたり、一部書き下ろしも加えて情報が更新されているのもうれしい配慮です。今年前半の同国の情勢が反映されていて情報の陳腐化がありません。