それぞれに不器用な生き方ゆえに孤独感を抱えた登場人物たちが織り成す切なくも優しさに満ちた3つの物語が、静謐かつ瑞々しいタッチで綴られてゆきます。
一見、何の関係もないような3つのストーリーが、『ゆるゆる』と進んでいのに、まったく先の展開が読めない。『こうなるだろう』と思って観ていると、思いと違う展開になる。ゆるゆる‘なのに、ある種の緊張感が生まれるから不思議。
一応、主人公は結構式場のウエイトレスのバティアなんですが、あとの2つの話が微妙に交わります。象徴的に使われているのがアイス売りのおじさん。バティアが本当に欲しがっているのは、アイスキャンディーなどではない。父と母からの『愛』なのだから。しかしそれも、手を伸ばせば、届くところにいつでもあるのだ。
そして、3つのストーリーは、実は同じテーマだということに、最後に気が付かされます。それは、誰にでもある、ほんとうに些細で、でも、とっても大事なこと。愛しているのに、不器用で伝えられない。愛しているのに、伝えた言葉は、なぜかうまく伝わらない。それぞれの心模様は、海底でフワフワ動く「クラゲ(ジェリーフィッシュ)」のよう。孤独や不安の象徴なんですね。3つの話とも、不安に満ちているが、人間のふれあいがなんとも心優しい。