まずは、『バチスタ』→『ナイチンゲール』→本書と刊行順に読まれることをおすすめします。特に『ナイチンゲール』は本書と時間軸・人物を共有する作品。ぜひ先に『ナイチンゲール』をお読みくださいませ。
著者の一貫した姿勢、現在の医療に対する問題提起というテーマをエンタメ小説に仕立て上げる、その腕前が一層際立つ本作。
読みどころは多々ありますが・・・
・舞台となる救命救急センターの緊迫した空気とスピーディーな展開
・救急センター部長「ジェネラル速水」の華やかさ
・入り組んだ人間関係がもたらす緊張感や葛藤
・バチスタスキャンダル決着の思わぬ副産物〜田口の大出世〜に伴い、彼に降りかかる数々の災難・逆風(ひとり歩きするヒーロー田口像が本人に全く見えていないおかしさ)
・対田口リベンジチーム(エシックス)と田口チームの闘い
(対決のクライマックスは・・・会議(笑) 解説の大森望さん曰く「ただ会議をしているだけなのにページをめくる手が止まらない」)
・氷姫(姫宮)の素っ頓狂な存在感。藤原看護師の暗躍(女子もがんばってます!)
・・・その他、ぜひお読みになってお確かめください。
速水のヒーロー像がステレオタイプかな、と思わないでもないですが、『バチスタ』の桐生同様、圧倒的実力と高邁な理想・使命感を有するわかりやすいヒーローがいてこそ、田口や白鳥のおかしさが活きてるんだろうなあ。泥沼的おっさん連中のくだらなさも。
めりはりのきいたキャラクター、物語を楽しみつつ、医療の理想・使命と現実について思いをはせずにはいられなくなる一冊です。