タイトルが暗示するように、七年間という“時間”に詭計が仕掛けられた叙述ミステリ。
メインとなるのは叙述トリックの一発ネタですが、それを成立させるために実に
多彩なテクニック(被害者が主人公のネックレスを握っていたことや主人公が
マラソンを七キロの地点で棄権したことに基づく心理トリック、ある呼称を利用
した誤認トリック等々のミスディレクション)が用いられており、さらに、各章の
配列も、計算し尽くされたものとなっています
とはいえ、本作のトリックを読み解く際、特殊な知識が必要になることに納得
できない向きもあるでしょうし、トリック自体が、数字の絡む煩雑なものである
ことをわずらわしく感じる向きもあるかと思われます。
そういった意味で本作は、技術的には申し分ないのですが、総合的には、
いまいちインパクトに欠けるという、実に惜しい仕上がりとなっています。