著者バード氏は、彼女の残した小説と姉カサンドラとの間で交わされた手紙を
詳細に分析し、200年前のファッションの具体的状況を見事に再現して見せた。
世の女性のファッションへの熱い思いが、まさに、洋の東西を問わず、時空を
も超越したものであることを如実に描きだしている。
記述の対象は広範で、衣服のみならず、テキスタイルから装身具などの小物ま
でに及び、その詳細な解説は、西洋の服装に疎い我々の19世紀文学理解に、多大
な貢献をしてくれることは確実である。
原書中の32枚と訳者追加の2枚を含め合計34枚のファッション・プレートから
の図版は、実に見事で、それだけでも一見に値する。
そして、それらの個々のファッション・プレートは、いまから200年も前に、
週刊、あるいは月刊といった定期刊行物として発行されていた「ファッション雑
誌」に綴じ込まれていたもので、まさに、現代のファッション誌のグラビアの
ルーツであったということも驚きに値する。
勿論、ジェイン・オースティンも、洋服の仕立屋などに置かれていたそれらの
高価なファッション誌に目を配り、流行をキャッチしていたことは言うまでもな
い。
こうした、18-19世紀の西洋服飾に関する詳細な記述は、19世紀西洋文学
を理解するうえで、当時の服飾描写の正確な理解に不可欠なものであるので、
ファッション関係者のみならず、文学関係者にとっても必読の1冊であろう。
著者による「テキスタイル用語」解説に加え、訳者による「ファッション用語
解説」は、本書理解に欠かせない。
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最も参考になったカスタマーレビュー
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
きれいな絵がいっぱいです,
By C&D (関東) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ジェイン・オースティン ファッション (単行本(ソフトカバー))
ちくま文庫の表紙の絵は、この時代のファッション雑誌からのものだと、この本で知りました。洋服についてぼんやりとした知識しかなかったのですが、生地の値段がどれだけ高いか、または安いか、手間がどれだけかかったか、あの女性の胸を上げる服装はどれほど大変だったか・・などが理解できます。小説や、ジェイン・オースティンの手紙(岩波新書)の手紙に書かれている洋服についての内容が生き生きと想像できるようになりました。知らなくても良いでしょうが知っているとイメージが沸き、現実味をおびてきます。
BBCドラマの高慢と偏見はとても時代考証がしっかりなされているということも分かります。オースティンの針仕事のことも載っていて、細かい作業を得意とする人だったと分かります。オースティンが考えていた「エレガンス」というものが理解できました。今の時代に通じる美しさの基準です。だから今もオースティンの作品は人気なのだと思います。 ひとつだけ難点は、挿絵の解説が長いこと、それを読んでいると本文がとぎれとぎれになってしまうことです。思い切って挿絵は後回しにして、本文をまとめて読んでから、最後に挿絵の解説を読みました。
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
服飾(史)に特に興味がなくても楽しい。,
By
レビュー対象商品: ジェイン・オースティン ファッション (単行本(ソフトカバー))
ファッションとあるが、それらの説明は大部分がオースティンの作品や書いた手紙を引用しつつ行われているので、
作品や登場人物達にかなり密着したものとなっている。作品の裏豆知識的な本としても楽しめる。 何よりオースティン含め人物達の存在がより生き生きしてくることは間違いない(男性の服飾についても詳しく扱われている)。 私自身はBBCのドラマで感じた数々の細かい疑問がかなり解消された。 ベネット夫人がガーディナー夫人に「最新流行の長袖の話を聞けて良かったわ」と言っているのは一体全体どういう事なのか、 また、ラストの方でビングリーが訪ねて来た時、ジェインがまだ髪も整えず着替えもしていないのはどうしてなのかなど、 文化や生活に則したちょっとした事柄が自分には長い間不可解だったので。 同時にBBCのドラマがいかに正確な時代考証の元に制作されていたのかがわかり、感心した。 朝・日中・夜、それぞれの時間帯にふさわしい衣装、ファッション小物の数々、靴の種類等、美しい図版や詳細な説明が一杯だ。 皆さんもおっしゃっているように、一枚いちまいのカタログ(プレート)が本当に素敵で、眺めているだけで幸せな気分になる。 オースティンの時代の実際のドレスの写真も数枚あり、文章や版画ではなかなか判らない質感や風情が伝わって来る。 目に楽しく、作品世界もより掘り下げて知ることができる、貴重な資料の詰まった一冊だと思う。 残念なのは補稿において一つ見逃せない誤りがあること。ギャスケルが書いたのはオースティンの伝記ではなく、C.ブロンテの伝記だ。 おそらくうっかりミスなのかもしれないが、これは結構大きな違いなので気を付けて欲しかった。
5つ星のうち 4.0
なるほどね!,
By
レビュー対象商品: ジェイン・オースティン ファッション (単行本(ソフトカバー))
BBCの「高慢と偏見」と、映画の「いつか晴れた日に」などを見まして、単純に「高慢と偏見」ではなんで、あの布製のお帽子をかぶっているのかな??とか、「裾がドロドロになってまー」みたいな台詞も単なるせりふか?とか思っていましたが、この本を読んで納得しました。その当時の女性の品格もよくわかりましたし、これを読むとリディアのおバカさがより一層分かってきました。この時代の映画に関心がある人は是非お読みなることをお勧めします。目からうろこの一冊でした。
(私は図書館で偶然手にして読みました。)題名をメモして、図書館にて探すことをお勧めします。
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